個別学習塾にくる子は様々です。
学年1位の子もいれば、学習障害をもった子もいます。
私は学習障害について専門家でもないですし、ただの普通の個別指導塾の塾長です。
専門知識を持たず体当たりで、講師の先生方とも色々な方法を試して日々奮闘中です。
今回はそんな実体験のお話をします。
高校1年生で入塾してきたAさん
知的障害ありです。
公立小学校から私立中高一貫校へ進学し、数学が苦手という事で入塾されました。
数学IAを受講。
普段の会話は問題なくできていました。知的障害と言われなければわからない程です。
明るくとても素直な子。
ただ、気になったのが、洋服が寒い季節でもものすごい薄着だったり、暑い季節でも厚着をしていたりという事があったので、塾としては彼女が体調を崩さないよう冷暖房を調節したり、気を付けました。
電車が遅れて塾に遅刻しそうになる時は必ず自分で電話をして伝えてくれる等、自己管理もしっかりしてできていました。
彼女のお母様はとてもよく彼女のことをサポートしていたので、彼女も進路について安心して考えることができていました。(最終的にペットのトリマーになる夢を持ち、専門学校へ)
普段の会話はそこまで問題ないのですが、やはり勉強となると因数分解等の仕組みは理解できるのに肝心な足し算引き算、掛け算でミスをしてしまい、なかなか点数が伸びませんでした。
また、週1回の通塾だったのですが、記憶がなかなか定着せず、1週間前にやったことがすっかり記憶から抜けてしまっていることがあったので、その都度短く復習をしないといけませんでした。
毎回足し算引き算を復習する時間はないので、ミスをした時に簡単に足し算引き算をやり直させ、理解が難しくても、学校の授業進度に合わせて授業を進めました。(そうしないとテストで点がとれない!)
文字もあまりきれいに書けていなかったので、自分で書いた文字の見間違いによる計算ミスも多く、きれいに書けるよう指導することも必要でした。
毎回の授業で今学校がどこをやっているのかを聞き出すのも大変でした。(本人の記憶があやふや)
学校ではどんな感じで授業をしているのかを聞くと
- 少人数制
- 特進クラスと同じクラスにされて、同じテストをしている
とのこと。
ん!?
特進クラス?そんなことがあるのか?
もしかしたら、特別支援学級にいて、特進クラスの人数も少ないので、同じ教室を使用し、授業はわけているのか??それにしても同じテスト??
んんー!わからない!本人に聞いても説明の仕方が難しいらしく、それ以上は無理でした。
結局毎回35点~65点あたりをうろうろする感じでしたが、足し算引き算があやふやで高校数学で6割は大したものだと思います。
学校へ行ってみた!
後日彼女の学校へ行く機会があったので、実際に先生に聞いてみたところ、
- すべてのクラスが10人以下の少人数制
- 彼女のクラスは人数が特に少なかったので特進クラスと合同にした
- 合同の場合はテストも特進クラスのテストを実施。
え!本当だったのね!
んんー。。。知的障害がある子なのに特進の子と同じテストなんて、ちょっとヒドイかも、、、。と思ったので、先生に聞くと、「知的障害があっても他の子と同じようにする。特別扱いはしない。」とのこと。
少人数制のメリットって手厚い指導サポートだと思うのに、特進と一緒にしてしまうというのは矛盾しているのでは・・・?と思いましたけど、それ以上質問してもしょうがないと思いましたので、帰ってきました。
【学校説明会や見学会では見えてこない】
よく入学前に学校説明会や授業体験会・見学会などありますが、そういった『イベント』は学校側のプレゼンですから、学校が入念に準備した自慢のものしかみられません。
現にその学校は説明会で「少人数制だからとても充実したサポートの授業です」とアピールしていましたが、ふたを開けてみればその子に合わせた少人数制ではないということもあります。
もしお子様が学習障害等お持ちで、勉強の壁にぶつかっている場合は、是非学校でどんな教え方をされているか本人によく聞いてあげてください。
その上で、納得できない点があれば先生に相談にいかれることをおすすめします。
しかし、特進クラスで6割とれた彼女、よく頑張ったと思います。
学校に直接聞きに行っていなければ、あやうく彼女の話を「なにかの勘違いかな?」で片づけてしまうところでした。
(写真:ぱくたそpakutaso.com)
追記:
その他の学習障害のあるお子さん達の指導事例集です↓
上記のお子さん達やAちゃんにも私は「褒めて伸ばす」を意識しました。
ただ、学習障害をお持ちのお子さん達の中には嬉しかったこともすぐに記憶からなくなってしまう子もいますので、効果が薄いこともあります。
「これ!」という決定的な方法はまだ見つけられていませんが、私の体験談が何か皆様のお役にたてれば幸いです。