悩めるママ達に!学習塾の塾長が教えるかしこい子育て方法

とある学習塾塾長が他塾の塾長から怒られそうな勉強・進学・育児についてのヒントをお伝えします。

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【指導事例③】小学3年生で入塾C君 なにかしらの学習障害。

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当塾に在籍していた学習障害のある子達の指導事例集第三回。

 

今までの事例集は下記をご覧ください↓

 

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何度も言ってしまいますが、当塾は普通の個別指導塾で、学習障害の専門塾でもなんでもありませんし、私も専門家ではございません。

 

そんな私が講師の先生方と相談を重ねて、色々試行錯誤しながら、向かい合ってきた学習障害のある子達の指導体験を今回も紹介いたします。

 

今回は、「なにかしらの学習障害」です。

 

【C君入塾】

C君は小学3年生の時に入塾しました。

 

やんちゃに騒ぐことはなくても、時々発する言葉が爆発的に面白い、ユニークな子でした。

 

芸術家肌で、学校で描く絵はよく展示されるような子でした。

 

ただ、学校の授業中集中していないことが多かったのと、たまに自分の世界に入りすぎて(?)名前を呼ばれても反応しないこともありました。

 

そして診断は

 

「なにかしらの学習障害」

 

ええ?

 

そんなふわっとした診断あるのですか?と思いましたが、お母様から見せてもらった診断書にははっきりと「なにかしらの学習障害」と記載されていました。

同時にC君の弟も一緒に見てもらったところ、弟は「ADHD」と診断されていました。

 

 

塾では

  • 忘れ物が多い(テキスト・筆箱等)
  • 宿題のやり忘れが多い
  • 途中式を書かない(書いてと言われると書くが、言わないと忘れる)

学校のテストでは60点台~80点台というかんじでした。

 

小学校の同じクラスの子が塾にいたのですが、C君は距離をとられていました。

なぜそうするのか他の子に聞くと、「C君が物を盗む。自分の鉛筆がC君の筆箱に入っていた」というのです。

C君に聞くと、「自分の物と勘違いして筆箱に入れた。同じものを持っている」とのこと。

 

ただ、そういった事が時々あったのと、発言が突飛なことがあったので「嘘つき」と疑われてしまっていました。

 

C君はADHDではありませんが、ADHDの子の特徴として、考えが1ヵ所に集中しやすいことがあるそうです。もしかしたら、C君は友達の鉛筆が机の上に出ていて、「鉛筆」→「筆箱にしまう」ということのみに集中してしまい、「自分の物かどうか」というところにまで考えがおよばなかったのかもしれません。(よくはわかりませんが)

 

小学校のクラス内では少しいじめもあったようなので、彼は弟や弟の友達とばかり遊んでいました。

 

【中学生になって】

中学生になりたての頃、彼はとても希望に満ち溢れていました。制服を見せに授業のない日でも塾に来たり、自習をがんばったりしていました。

 

ところが、中学校でさらにひどいいじめにあいました。

特に彼のいたクラスは荒れている子が多く、学校にスカジャンを来た親がバイクで子供を堂々遅刻した時間に送って来たり、SNSで友達のウソの噂話を拡散し、それを追究されると過呼吸のフリをして倒れる女子や友達と仲のいいふりをして、友達の大切なものをトイレに流す子など。。。

 

何度も夜まで学校でクラス全体の保護者との話し合いも開かれ、とうとう担任の先生も泣いたりで、結局お辞めになってしまったそうです。

 

C君も自分より体の大きい子に暴力を振るわれ、メガネが何度も壊されていました。

 

C君の偉い所は、本当は強いのに(柔道得意)「やり返したら奴らと同じレベルになる」と言って、一切やりかえしませんでした。(心が男前なんです!)

 

お母さんにも「心配をかけたくない」と一切いじめられていることはいっていませんでした。(心が男前なんです!)

 

途中までがんばっていたC君でしたが、目に見えて成績が下がっていきました。中学1年生最初の数学のテストも9割だったのが、2割まで落ち込みました。

 

忘れ物も前よりもひどくなり、呼びかけへの反応もどんどん鈍くなっていきました。

 

友達の話だと、学校では遅刻が多く、少しでも先生に注意されたり、皆に笑われるとすぐ保健室へ行って寝てしまう。授業中も堂々と寝ていて、部活もほとんど出ていない状態だったそうです。

 

また、この頃C君の家庭環境も変化があり、母子家庭だったのですが、お母様に再婚話があがっていました。そしてC君はそれを良く思っていませんでした。精神的に不安定だったかもしれません。

 

内申点が非常に心配でした。

 

神奈川県の公立中学校では、基本的に提出物をしっかりやって期限内に提出していれば「3」、そして授業態度が意欲的で「4」、さらにテストの結果も良いと「5」という感じです。ですからテストの結果が良くなくても「4」以上は結構取りやすいです。

 

しかし、C君は提出物がまず出せません。忘れてしまうのです。そして授業は参加していないか、寝ているので意欲はないとみなされます。テスト結果も悪いです。案の定内申点は「1」か「2」になってしまいました。

 

美術も描く絵は何度も展示されているのに「2」。おそらく提出期限が守られていない上に、テストの点数が悪かったのでしょう。

 

このままでは大変だと思い、色々試みました。

 

中学の成績のつけ方と高校入試のシステムや何をしなければいけないか本人に直接説明する

 

子供は「知らなかった。言われればやったのに。」ということが多いので、なぜ成績が「3」以上にならないかなどの説明を本人に説明しました。しかし、すぐに忘れてしまうので、あまり効果はありませんでした。

 

厳しく叱る

叱ると言っても「なんでできないんだ!」みたいな叱り方ではなく、忘れ物をしたら取りに戻らせる。遅刻をしたら居残り勉強をするなど。そしてお説教もちゃんとしました。しかし、数秒後には忘れてケロリとしていて、効果はありませんでした。

 

褒めまくる

前回の自閉症の子の記事でも紹介したように、その子の良い所をとにかく見つけて褒めまくりました。これは小学校の頃からやっていましたが、中学で成績が落ちてからはより意識しました。しかし、その時は嬉しそうでしたが、自分の出来た事の記憶がすぐになくなるようであまり成績に効果はありませんでした。

 

 

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情に訴える

お母さんがC君の塾代に払っている金額や、その金額を稼ぐにはどのぐらいの時間働かなければならないか、親の苦労を具体的に説明し、情に訴えました。その時は目が潤んでいましたが、数分後ケロリで効果はありませんでした。

 

とにかく何をやっても忘れてしまい、効果がでませんでした。もうこうなったら奥の手です。

 

せめて提出物をしっかり出す作戦

 

学校の授業を一切聞いていない、塾の宿題も忘れる(来ることも忘れる)テストの点数が伸びないならば、提出物をしっかりやるしかありません。

 

塾の今まで使っていた教材はひとまずお休みし、学校の提出物を塾でやることにしました。学校のワークやプリントを塾で文句なしの状態に仕上げ、あとは提出するだけ!ということにすれば、だいぶ楽になるだろうと思いました。

 

【提出物】

提出物はただやって、答え合わせをするだけでいいものもあれば、色を分けたりなどの工夫をしなければいけないものもあります。

 

C君の場合は提出物自体を無くしてしまう事も多かったので、まず学校の提出物を塾に持ってこさせ、(忘れてきたら取りに帰らせました)毎回全てのコピーをとります。

こうすれば、失くしてもコピーを提出すればよいので、安心です。

 

そして一通り問題を解き、答え合わせをして、間違えた問題は赤で正しい答えを書き、さらに別の紙に解き直しをさせ、問題に添付します。また、なぜ間違えたのかの理由を書いたり(計算ミスをした 等)、教科書にある似た問題などを探してそれも解いた紙を添付しました。カラーペンを用意して、色分けもさせて、見やすいように工夫しました。

 

これは本当に大変でした。

 

普段学校の宿題のわからない所の質問等は受けますが、1からすべて手伝うことはしません。でも、この作業をすることで、「提出物とはここまで丁寧にする必要があるのだ」と学んでほしかったのです。

 

これで、意欲関心が低く、テストの点数が悪くても「3」以上になるはずです!

 

ところが。。。

 

 

 

C君まさかの提出せず!

C君に提出日も聞いていたので、何日も前からずっと「〇日提出だからね!」と言っていたのですが、まさかの提出せずでした。

 

しかも、「提出した?」ときいたら「した!」と言っていたのです。

 

彼曰く、「提出した記憶はあったんだけど。。。」ということでした。

 

おそるべし!なにかしらの学習障害!

 

いや、これが「なにかしらの学習障害」のせいなのか、彼の性格の問題なのかわかりませんが、この時ばかりは全身の力が抜けてへにゃへにゃ~と崩れました。

 

 

【結局】

C君には何を試みても目に見える効果はありませんでした。

ですから、引き続き提出物を塾でみながら、提出できたときは褒めるというスタンスでなんとか高校入試までもっていきました。

 

しかし、以前の記事で紹介したように、学校の先生が協力的でなく、私立の受験校を選べなかった彼に、「私立を受けない」と紙に書かせ、ハンコをおさせたのです。

 

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本来ならば、私立選びを協力するのが学校の役目だと思います。まして、学校は彼の学習障害のことも知っていました。公立を受験する子が私立を受けないメリットはありません。

 

なんとか公立高校に受かったからよかったものの、この時は中学校に落胆しました。

 

高校入試間際の頃も願書を提出したまま学校に戻ってくる道を忘れて、時間までに戻らず、学校中大騒ぎで探すことになったり、入試直前に利き腕を骨折するなど(遊んでいて)、色々大変でした。

 

それでも私は彼の良いところをほめ続けて「大好き」「信じている」「頑張れ」「いつでも頼れ」とありとあらゆる励ましをしました。

 

自閉症の子の記事の後半で紹介したように励ましや、応援を言葉にすることは本当に大切だと思うからです。

 

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C君はその後工業高校に進み、今もしょっちゅう塾に遊びに来てくれます。

中学の時よりも楽しそうで、危険物取扱の免許や色々な資格を次々取得しているそうです。部活にも積極的に参加しています。

 

 

今もしょっちゅう遊びに来てくれるのは、大変な中でも「C君のことが大好き」「C君の事を真剣に考えている」という事をちゃんと伝え続けた結果だと思っています。

 

塾の前日にも「明日塾がある」ということと「塾にもってこなければいけないもの」を電話連絡し、お母様とも面接を重ね、私なりに調べた学習障害についての資料や、学校の協力の仰ぎ方、(学校に申請するフォームがある)などをお渡ししたり等、最終的に成績を上げるという目標から提出物を提出させるというところまで目標を下げることになってしまいましたが、やれることは一生懸命やったつもりです。

 

ただ、知的障害の子や自閉症の子に試したことに少しは効果があったこともあったので、今回もなんとかなるかもと思っていたのは甘かったです。学習障害やそれぞれの個性に合わせた教育が本当に難しいと痛感しました。もっと別の塾で別の先生なら違う効果があったかもしれません。

 

本当に答えがまだみつかりません。

 

ただ、彼が今色々な資格を取れているということは、資格に興味があったからだと思います。興味があれば勉強もできるということだとおもいます。好きな事って大人でも無心にがんばれますよね。

そこにヒントがあるような気がします。

 

もっと子供たちが勉強にやりがいを感じられるようにがんばります。

【褒めて伸ばす】小出監督の指導法

中・長距離ランナー指導者の小出監督が先日お亡くなりになりましたね。

高橋尚子さんの金メダルには本当に感動しましたし、お二人の絆もとても印象深かったです。

小出監督の指導法は当時のスポーツ界では考えられないような「褒めて伸ばす」スタイル。

これ、フィールドは違えど指導していく観点では、勉強でも同じ事がいえると思います。

今回は簡単そうで間違え易い褒めて伸ばすコツを少しご紹介したいとおもいます。


「褒める」効果

褒めるということはどんな効果があるでしょうか。
褒められると嬉しくなります。
そして褒められた事について自信がつきます。
自信がつくと、人間は不思議なもので、意識がかわり、褒められている事のレベルをもっとあげようと自然におもったり、他のものも頑張ってみようという気になります。

例えば、何にも美容に興味がない人が、「爪がきれいですね」と褒められます。

「え?そんなこと思ったこともないけれど、、、お世辞かしら?」と最初におもったとしても、やっぱり気になって自分の爪を見ます。

ここで自分の爪(褒められたもの)を見ることが大事なんです。

「お世辞だわ」とか「全然きれいじゃないと思うけど」と思っても、「爪ってみられてるのね」と意識します。

そして、何度も爪を褒められるうちにだんだん本当にそう思えてくるのです。

高橋尚子さんも何度も何度も「お前は世界一になる」と小出監督に言われ続け、最初はお世辞とおもっていたのに言われ続けるうちに、本当にそうなる気がしたそうです。そして国内でどんどん結果を出し始め、世界一に。

「爪がきれい」となんども言われると、だんだんそう思えて、今度は「爪が見られているという事は手全体見られているかも」となり、ハンドケアをしだすようになります。

勉強もそうです。

以前、英語も数学も苦手で入塾した中2の子に、「今のところ英語より数学の方が得意なんじゃない?見てると練習が足りてないだけで、数学のセンスあるよ。」と言います。(入塾時、学校のテストでは数学9点英語6点。。。)

すると「へー。俺って数学センスあるんだ。」と思ってくれ、数学も英語も嫌いだったのに、数学に関してはちょっと苦手意識が薄れてくれます。それから、計算の仕方を教えて、ちょっとでもできたら(足し算レベルでも)「計算が得意だね!やっぱりセンスあるね。」といって、計算の宿題をドカンと出します。

だんだん計算が出来るようになったら、図形、関数といった風に同じ要領で褒めてやらせます。そして、「こんなに数学できるなら、英語もできるとおもうよ。だって英語って実は数学に似てるんだよ。」といって、英語もやらせていきます。最終的に彼は理系に進み、高校で常に八割九割得点しています。

最初から勉強がデキる子でも必ずうっかりミスがあります。そういう子に「もっとやれ!」「なんで満点とれないんだ」「また計算ミスしてるぞ」なんていってもなかなかなおりません。どうしてミスするのか分析ができないからです。

それよりも、「君は絶対満点とれるよ」といって、一緒に間違えた問題を解き直します。「字がきれいだね」「書き方のバランスがいいね」「式が丁寧だね」と褒めます。すると、文字や式をもっと丁寧に書こうとします。すると、いつもミスしているパターンが見えます。「いつも8と3を見間違えているね。これを直せたら満点とれるよ!」と励ますと、ミスがかなり減ります。

「計算ミスしてるぞ!気をつけろ」と言われるよりも効果があるとおもいませんか?



勘違いし易い「褒める」と「甘やかす」の違い


時々、褒めて伸ばす事と甘やかすことを勘違いしている人がいます。

褒めて伸ばす為に大事なことは、褒めることは本当の事をほめます。つまり、指導者が本当にそう思っていないといけません。嘘をついてはいけないのです。

遅刻している子に「遅刻してもいいんだよー」なんて発言するのは甘やかしです。そうではなくて、遅刻する子の他のいいところを褒めます。

例えば「忘れ物をしないのはきちんとしているからだね。君はきちんとしているのが良いところだよ。今度時間の管理をきちんとしてみたら、成績ももっとあがるから、やってみよう!」などです。

そして、言うだけでなく、毎日その子を見ます。一分でも早く昨日よりくれば、「もう早速昨日より一分早くこれたね!あと○分だ。がんばれ!」「絶対遅刻しなくなるよ」と言うと良いと思います。

そして褒めることの本当の意味は、厳しい訓練をこなさせるために褒めるということです。

小出監督の練習メニューはかなり厳しいものだったようです。選手の親御さんには見せられないような過酷な訓練を、褒めてこなさせることが強いアスリートを育てる秘密だったようです。

勉強もそうで、褒めるだけでは自惚れるだけでおわります。褒めながら、君ならやれると励まし、沢山の演習をこなさせることで良い結果につながります。褒めているからといって簡単な道へ逃がしているわけではないのです。


最後に

小出監督が良く言っていた言葉が

「他の人と比べるんじゃないよ」
「いつでも自分が今より強くなることだけを考えなさい」

だそうです。


勉強でも、「昨日の自分より、今日知識がどれだけ増えたか。」をしっかり見つめることで必ず進歩します。

他人と比較して焦るばかりで勉強が身につかないのが一番効果ありません。

正しい「褒めて伸ばす」を意識したいですね。


追記:
褒めて伸ばすに関連して↓
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その他、学習障害のある子達の指導事例集↓
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【指導事例②】小学3年生で入塾B君 自閉症。

 

 

 

 

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今まで当塾に在籍していた学習障害等があると言われていた子の指導事例シリーズです。

 

前回は知的障害のある子のお話でした。

 

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 重ねての記述になりますが、当塾は学習障害の専門塾ではなく、普通の個別指導塾です。

私も専門家ではありません。それでも年々学習障害のある子の入塾数は増えています。

それは昔に比べてそういう診断がされやすくなったのか、それとも人数が増えているのかわかりません。

 

同じ学習障害の診断名のついている子でもタイプが全く違う子もいますし、毎回手探り状態で対応し、もっと効果のある指導法はないかと奮闘しています。

 

今回は自閉症の子のお話です。

 

【B君入塾】

 

B君は元々B君のお兄ちゃんが当塾に在籍していたので、小学3年生の時に入塾してきました。

その数年前は重度の自閉症と診断され、その後重度ではなくなり、小学校1年生から公立小学校の特別支援学級に在籍していました。

 

緊張しやすい子だったので、他の塾ではなく、お兄ちゃんのいる塾を迷わず選択したのだと思います。

 

彼が入塾した当初、1時間落ち着いて座っていられませんでした。

 

騒ぐということはなかったのですが、算数をやっていてもそわそわして集中できなかったようなので、集中が途切れだしたかなとおもったら、

 

  漢字のプリントをいきなり出す

   

→ 「ん?」となって、漢字に興味を持つ

 

→ 少し漢字をやったら今度は算数のプリントに戻る

    

というふうに気分転換をさせるようにしていったら、段々と算数1時間集中することができるようになっていきました。

 

小学5年生になると塾の事や担当の先生の事はすっかり信頼してくれていて、(たまに担当の先生が変わると固まることがありましたが)週2回(国語と算数を1回ずつ)の通塾に増やし、お母様の希望で小学3年生の範囲を繰り返しやりました。

 

お母様は小学3年生の範囲を希望していましたが、本人は「また3年生~?もう5年生だよお」と発言する事があったので、教材に「3年生」という表記がなく、「Vol.3」などの表記の物を使うようにして、本人のプライドを傷つけないようにしました。

 

また、3年生の範囲のものもよくできていたので、お母様にも「4年生の範囲のものをやっていきたい。できなければすぐ3年生に戻すので。」とお願いして、だんだん学年をあげていきました。

 

指導する時に、できたものはとことん大袈裟なぐらい褒めました。そして苦手なものはあまりこだわらずに飛ばしました。彼は文字もきっちり枠の中に均等に書くことにこだわりがあったので、「きれいにかけて偉いね!」や「姿勢がきれいだね!」等、勉強以外のことも褒めるとどんどん字もきれいに、授業態度も良くなっていきました。

 

一度に色々な事を言うと混乱することがあるので、なるべく伝達事項は簡素化し、本人に伝えたことはお母様にもメモを書いてお渡ししました。

 

6年生になるまでに算数も国語も6年生の範囲のものを学習することができ、国語はかなり得意になっていたので、6年生の途中から英語に切り替えました。

 

実は彼のお母様は外国の方だったので、英語はまあまあ知っている単語も多く、抵抗はあまりありませんでした。英語を勉強する時、「小学6年生なのに中学1年生のお勉強だよ!」と大喜びでした。

 

そこから自信がさらにつき、算数も今まで苦手としていた問題に自らチャレンジしようとしたり、「算数も中学1年生の問題できちゃうかなあ?」と意欲を見せ始めました。

 

【そして中学生に】

 

B君もとうとう中学生になりました。彼は公立中学校特別支援学級へ進学。塾では英語と数学を継続しました。数学の教材は難易度が易しめで、「数と式」「図形」「関数」と範囲ごとに1冊ずつ分かれているものにしました。英語も同じく易しめの教材を使用しました。

 

はっきりいって、他の「やんちゃ」で勉強を全然していない生徒さんよりかなりできていました。

 

英語よりも数学の方が難しかったようです。「数と式」は得意で、問題集1冊終えた後、いざ「図形」に入ったら「うーん」となってしまいました。でも、「○○君、あんなに難しい『数と式』1冊できちゃったんだから、これもできちゃうかもよ?」といって励ましたら、「見るだけ見てみるぅ。」となり、結局「図形」も「関数」も1冊完了できました。

 

そのペースでしっかり中学3年生の範囲を英数ともに中学卒業までに学習することができました。

学校ではテストがなかったのですが、テストをうけてもかなりよくできたのではないかと思います。(彼がテストという緊張した時間を耐えられたかどうかはわかりませんが。)

 

夏休みなどにはおばあ様に会いに海外へ行き、現地の子供達にボランティアで日本語を教える事もしていました。

 

【悩んだ進路】

中学3年生の夏、高校をどうするかでもがきました。

B君自信はあまりよくわかっていませんでしたので、お母さんが一生懸命調べていましたが、中学の特別支援学級はテストもありませんし、卒業しても単位がないので普通の高校へ行けないとのこと。

 

できれば特別支援学校に進んで、国の支援のもと、職業訓練を受けてほしい、そして将来働いて欲しいとお母様は望まれていました。もし特別支援学校に入れないと、特別養護学校になり、将来の仕事のサポートなどもないそうです。

 

お母様はB君が両親がいなくなった後一人で生きていける道筋を一生懸命作ろうとしていましたが、特別支援学校への進学はとても難しいようでした。

 

【難しい特別支援学校への進学】

B君のお母様の話によると、特別支援学校へ進むと国のサポートがあるそうで、中学校で特別支援学級だった子達は特別支援学校への進学を希望する子が多く、倍率が非常に高いそうです。

また、特別支援学校では職業訓練の授業があるので、会話が成立しやすい子が受かり易いそうです。(教えるのが簡単な子)

 

B君は会話はよくできるのですが、自分の気に入った話を何度も繰り返したり、たまに他の人の言っていた事が混じっていたりするので、時々会話が成立しないことがありました。特に信頼していない相手には緊張してしまってうまく話せない事も多くありました。

 

さらにB君にとって不利だったことは、最近中学校の特別支援学級に障害がなくても「お勉強が出来ない」だけの子が入ってくることが多く(学校がすすめる)、ほぼ健常者の子が特別支援学校進学の枠をとってしまうそうです。

 

(より支援が必要な人に支援がいきわたっていないような。。。)

 

また、特別支援学校へは中学校の推薦で行くため、中学校の協力が必要不可欠なのですが、B君は幼少期に「重度の自閉症」と診断されていて、「重度の診断がある子はまず受からないから推薦しない」と学校から言われてしまったそうです。

 

今は重度ではなくなっているのですが、幼少期についてしまった診断履歴のせいで、学校の協力を得られないという事に納得いかなかったお母さんは昔の記録から一生懸命当時の診断をした先生を探し当て、(病院も移られていて、探し当てるが大変だったそうです。)訂正してもらい、なんとか学校に推薦してもらえるまでこぎつけました。

 

こちらができることは、面接の練習ぐらいだったので、時間の許す限り面接の練習をしました。

 

結果は残念ながら不合格で、B君は特別養護学校へ進学することになりました。

 

現在、本人はいたって楽しそうに通学していますが、(退塾後、時々遊びに来てくれています)英語の授業はほとんどなく、(週に1時間程度。やりたいと言ったらやってもらえる)少し勿体なく感じます。

 

でも、塾へ通ったことで、彼の学習が小3で止まることなく続けられたことは良かったと思います。

 

【学習のポイント】

塾で意識したことは次のようなことでした。

  1. 出来たことをとにかく褒めちぎる
  2. できないことにこだわらない(今は飛ばして、あとで戻って復習する)
  3. 勉強以外の彼の良い所も褒める
  4. 「決まり事」「ルール」を守る事が安心するみたいだったので、「ルール」を明確にする
  5. シャーペンや鉛筆の濃さは3B、4B
  6. 伝達事項はシンプルに
  7. 大事なことは直接保護者に電話&メモ
  8. 「大好き」と伝える

 

【ポイントの解説】

 

①出来たことをとにかく褒めちぎる

  

前にも説明しましたが、とにかく大袈裟に「すごい」「感心する」「みんなこれは難しいと感じるのにB君はできるんだね!」など、褒めちぎりました。

褒められて悪い気はしないはずですし、B君は褒められるとどんどん意欲的になってくれて、がんばってくれました。

 

②できないことにこだわらない(今は飛ばして、あとで戻って復習する)

 

小3の範囲でわからないものがあって、できるまでやり続けようとしても、できるようになるかわかりません。どんどん苦手意識が強くなるかもしれません。だったら今はそれを飛ばして(一度はしっかりやります)次の範囲をやり、「これができるなら前のもの簡単にできちゃうかもよ~?」とモチベーションをあげて再度チャレンジさせました。

これは、B君だけでなく、他の子にも時々やります。中3になってから中1のものをやると簡単に思える事ありますよね。精神的な成長も勉強には大事な要素なので、時間が解決してくれることもあります。

 

③勉強以外の彼の良い所も褒める

 

彼は褒められると本当にがんばってくれる子だったので、姿勢の良さ、字のきれいさから服のセンスの良さまでありとあらゆる彼の良い所を褒めました。そして自信をつけてもらいました。お兄ちゃんや学校の友達の影響で汚い言葉遣いをする事もありましたが、褒めると必ず「そうですか~?」と敬語で照れていたのがとてもかわいらしかったです。そしてますます字も丁寧に書く事を意識したり、褒められた事のレベルを下げないようにがんばっていました。

 

④「決まり事」「ルール」を守る事が安心するみたいだったので、「ルール」を明確にする

 

B君は決まりやルールを守ることが安心するタイプでした。(年齢が上がるにつれ、家族の決めたルールにはあまり従わない事も増えたようです。ゲームの時間など w)

ですから、文法を教える時も、「○○の時はこういう決まり」という風に「決まり」「ルール」という言葉をはっきり使って説明しました。

 

また、塾で汚い言葉遣いをしたり、びんぼうゆすりをした時に、注意するときも、

「それは汚い言葉遣いよ。」とまずはっきり言います。

すると、「みんな学校でいっているよー。」と反論してきます。

「みんなはじゃあお行儀悪いね。B君は真似しちゃだめ。」と伝えます。

「えー。なんでだよお。」とまだ不服そうです。

「ここは塾で、私がルールを決める人だから!そしてB君はここの生徒だから!」と言い切ります。

 

全然納得のいく理由ではないかもしれません。でも、彼には「ルール」のほうが強く頭に残ります。

 

すると「はあい。」と見事に納得してくれます。

 

フォローとして、「そういうお約束をしっかり守れる素直なB君は本当に素敵よ。」とほめると、「そうですかあ~?」とまた照れ臭そうに喜んでくれます。

 

⑤シャーペンの濃さは3B、4B

 

これは、B君だけにしか有効でないかもしれませんが、彼は字をとてもきれいに丁寧に書くことにこだわっていたので、物すごく筆圧が強かったのです。そのため、HBのシャーペンで書こうとすると、強すぎてテキストが削れてしまったり、芯がしょっちゅう折れてしまったり、間違いを消す時にきれいに消せないということがあったので、3B,4Bの芯を用意しました。

 

気のせいかもしれませんが、他の学習障害の子でも、視力が弱かったり、筆圧が強い子がいたので、濃いめ、柔らかめの芯をその子達にも使いました。

 

⑥伝達事項はシンプルに

 

とにかくたくさんの情報を伝えてしまうと、混ざってしまったり、忘れてしまったりと混乱することが多かったので、例えば来週の予定が変わる場合でも、塾に来た時でなく、帰る時に伝え、予定が変わる理由は伝えずに「来週〇曜日○○時!」という風に短く伝えました。同時に必ずお母さんにもお手紙や電話で伝えました。ただ、本人を通さず直接お母さんとだけやり取りをするということはしませんでした。

 

本人が自己管理することが大事なので、あくまでお母さんはもしものフォローということで伝えました。

 

⑦大事なことは直接保護者に電話&メモ

 

これは⑥でも説明しましたが、大事なことは直接保護者に電話やメモで伝えるようにして、いつ本人が混乱してもフォローしてもらえるようにしていました。また、B君のお母様は外国の方でしたので、(日本語はとても流暢でしたが)もし細かい話まで理解できていない時の為に紙に明記するのは大事だと思い、2重3重に確かめられるようにしていました。

 

⑧「大好き」と伝える

 

これはB君だけでなく、どの生徒にも私は意識して伝えるようにしています。

なかなか「大好き」だとか「大切に思っている」ことは家族間でも直接言葉にして伝えませんよね?B君のお母様は外国の方だったので、よく「愛している」とお伝えのようでしたが、普通は塾の先生から「大好き」だとか「愛してる」といわれることはほとんどないとおもいます。

 

ただ、長年子供達を見ていると寂しがっている子が多いと思います。

 

共働き世代も多くなっていますし、以前紹介したような6以上の数が数えられない子なども、コミュニケーションがしっかりしていれば親が気付くはずですが、最近親が気付いていないということが増えているように感じます。

 

 

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私は「一度うちの塾に入塾した子は一生私の生徒」という気持ちで塾長をしているので、生徒が頑張った時も「計算ずっとがんばって練習していたの見てたよ。そういうところ大好きよ」とかはっきり言葉にして、「いつも見ている」ということを伝えます。

さみしがりの激しい子や、ネガティブ思考の強い子には「愛してるで!」(関西人ではありませんが、ちょっと恥ずかしいのでこう言ってしまいます w)と大きな声で宣言します。女の子には許可をとってハグもします。(注:私は女性です)男の子には親指を思い切り立てて「グー!」サインをだしたり、許可をとって頭を撫でます。

 

家族以外の他人、まして塾の先生から「愛してる」などと言われることはほとんどないでしょう。でも、言われるとどんなに内気な子でも、笑顔をみせてくれます。そういうときも「今、笑った!笑ったよね!良い笑顔だなー!大好きだなー!」と食いつきます。

 

特に、中学生になると、心が大人と子供の間で不安定になっている時があります。もう赤ちゃんの時のように甘えられないけれど、無性に甘えたい時があったり、言いようのない孤独感があると思います。(大人でもそうかもしれない)だから、「家族以外で、あなたの事をちゃんと思っている人がいますよ!」というのをはっきり伝えます。

 

事実、うちは卒塾した生徒達が(中には就職した社会人も)しょっちゅう遊びにきてくれます。そして、学校のことや色々な悩みを話してくれます。それはこういう風に私が気持ちをちゃんと正直に伝えてきた結果かな?と勝手ながら思っています。

 

【最後に】

B君の体験をふまえ、最近入塾の増えてきた学習障害のある子や、著しく勉強の苦手な子への指導は「あせらない」事を意識しています。そしてB君のお母様が後悔・奮闘していた姿を見た上で、「特別支援学級」にはいるか迷っている保護者さんには体験談をお話して参考にしてもらっています。

 

今回のこの話が自閉症の子をもつ保護者さんや、他塾の先生方の参考になれれば嬉しいです。

【指導事例①】知的障害のあるAさん 高校1年生

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個別学習塾にくる子は様々です。

 

学年1位の子もいれば、学習障害をもった子もいます。

 

私は学習障害について専門家でもないですし、ただの普通の個別指導塾の塾長です。

専門知識を持たず体当たりで、講師の先生方とも色々な方法を試して日々奮闘中です。

今回はそんな実体験のお話をします。

 

高校1年生で入塾してきたAさん

知的障害ありです。

 

公立小学校から私立中高一貫校へ進学し、数学が苦手という事で入塾されました。

数学IAを受講。

 

普段の会話は問題なくできていました。知的障害と言われなければわからない程です。

明るくとても素直な子。

 

ただ、気になったのが、洋服が寒い季節でもものすごい薄着だったり、暑い季節でも厚着をしていたりという事があったので、塾としては彼女が体調を崩さないよう冷暖房を調節したり、気を付けました。

 

電車が遅れて塾に遅刻しそうになる時は必ず自分で電話をして伝えてくれる等、自己管理もしっかりしてできていました。

 

彼女のお母様はとてもよく彼女のことをサポートしていたので、彼女も進路について安心して考えることができていました。(最終的にペットのトリマーになる夢を持ち、専門学校へ)

 

普段の会話はそこまで問題ないのですが、やはり勉強となると因数分解等の仕組みは理解できるのに肝心な足し算引き算、掛け算でミスをしてしまい、なかなか点数が伸びませんでした。

 

また、週1回の通塾だったのですが、記憶がなかなか定着せず、1週間前にやったことがすっかり記憶から抜けてしまっていることがあったので、その都度短く復習をしないといけませんでした。

 

毎回足し算引き算を復習する時間はないので、ミスをした時に簡単に足し算引き算をやり直させ、理解が難しくても、学校の授業進度に合わせて授業を進めました。(そうしないとテストで点がとれない!)

 

文字もあまりきれいに書けていなかったので、自分で書いた文字の見間違いによる計算ミスも多く、きれいに書けるよう指導することも必要でした。

 

毎回の授業で今学校がどこをやっているのかを聞き出すのも大変でした。(本人の記憶があやふや)

 

学校ではどんな感じで授業をしているのかを聞くと

  • 少人数制
  • 特進クラスと同じクラスにされて、同じテストをしている

 

とのこと。

 

ん!?

 

特進クラス?そんなことがあるのか?

もしかしたら、特別支援学級にいて、特進クラスの人数も少ないので、同じ教室を使用し、授業はわけているのか??それにしても同じテスト??

 

んんー!わからない!本人に聞いても説明の仕方が難しいらしく、それ以上は無理でした。

 

結局毎回35点~65点あたりをうろうろする感じでしたが、足し算引き算があやふやで高校数学で6割は大したものだと思います。

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【非常識?】先生は大変かもしれないけれど、今の学校の先生に物申す!

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ニュースで学校の先生の体罰などよく問題になりますね。

先日もショッキングな動画がニュースにでました。

生徒の胸ぐらをつかみ、暴言を吐き、床に投げつける。。。

なんてけしからん先生だ!と思ったら実は生徒が動画拡散炎上を狙ったという話も出てきたりして、もう何が真実だかわかりません!

 

メディアも面白半分に取り上げるだけ取り上げて、真相やその後を一切追わないので、一番けしからんのはメディアかもしれませんが。

 

しかし、一体全体どうしてこんな悲しい人間関係が出来上がる時代になってしまったのでしょうかね。保護者も生徒も先生を敬わないですし、先生も生徒の事より自分の事ばかりになってしまっている気がします。

 

きんぱっつぁんが知ったら嘆き悲しむんじゃないですか?

 

今の時代熱血な先生は減ってしまいましたね。部活の顧問も学習指導も進路指導も一生懸命やっていた昔の先生達はすごいですね。でも、金八先生だって今の時代のものさしで見たら、「ロン毛」、愛の鞭の「平手打ち」でメディアに散々とりあげられて叩かれるのでしょうね。「ばかちんが!」を動画にとられて「暴言」といわれ、乙女ちゃんら家族も叩かれる。。。恐ろしい!

 

一生懸命やっている先生ももちろんいて、でもそういう一生懸命な先生に一生懸命じゃない先生の仕事や責任が一気に集中してしまって過労で倒れる方も多いとか。そしてまた良い先生が少なくなる。。。負の連鎖。

 

このままだと、日本の教育の質は確実に低下していきます。

原因は一つではありません。

モンスターペアレント、知識不足の先生、スマホ・インターネットの普及、人材不足。すべてが関わって良くない結果になっていると思います。

 

この悲惨な状況を脱する為に何ができるか日本全体で考えていかなければいけないと思いますが、まずできることとして初心に戻り、先生達が生徒の見本になるような大人になる事を心掛けることが大切だと思います。

 

当塾の生徒を見ていると、成績のつけ方、テストの内容、学校同士の差、進路指導の仕方、色々と問題があるように思います。

 

実際にあった話をご紹介しましょう。

(神奈川県の公立中学校のお話です)

 

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【個別指導塾VS団体指導塾】通塾するならどっち!?比較してみよう!

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入塾を考えているけれど、個別指導塾と団体指導塾どっちがいいの?

 

塾のスタイルは様々ですよね。最近は両方対応している塾もあります。

 

ちなみに私が塾長をしている学習塾は個別指導塾です。

 

お友達の評判を聞いても自分の子に合うかどうかは別ですし、色々メリットデメリットを知って参考にすると良いと思います。

 

<個別指導塾のメリット>

  • 授業は少人数なので、きめ細かい指導をしてもらえる
  • 個々の要望に合わせたオーダーメイド授業をしてもらえる(先取り・復習・英検のみ等)
  • 周りを気にする必要がないので集中しやすい
  • スケジュールが自由に決められる

<個別指導塾のデメリット>

  • 授業料が高い
  • 競争心が育ちにくい
  • 先生と慣れ合いが生じやすい

 

【解説】

個別指導の強みといえば1対1~3程の少人数授業できめ細かい指導が受けられる点です。子供はわかった気になっていることも多いので、先生がしつこく理解度をチェックしてくれると確実に成長できます。また、思春期の生徒さんはお友達の目を気にしてしまうことが多々あり、(英語の発音を聞かれたくない・間違えた発言を皆の前でしたくない等)余計なストレスを感じなくて済むのは大きなメリットだと思います。

 

しかし、デメリットにも書きましたが、周りの目を気にしないで済むというのは、競争心が育ちにくいです。やはり周りが頑張っているから自分もやらねば!という気持ちは大切です。

 

【ワンポイント】

個別指導塾では先生と生徒の距離が近いので、生徒の性格・個性を把握しやすいです。大人数の環境とは違うので褒める時もダイレクトに褒めてもらえるので自信もつきやすいです。ですから、その子に合わせたアドバイスをしてくれるので、先生に言われた通りのことを着実にやる子は大幅に成績が伸びやすいです。

 

【個別指導塾に向いている子】

素直な子 ルールをきっちり守りたい子 褒められて伸びるタイプの子 静かな環境が好きな子

(総じて長男・長女タイプ)

 

【個別指導に向いていない子】

飽きやすい子 友達と勉強したい子 自分は本気出せばできると思っている子

(総じて末っ子タイプ) 

 

<団体指導塾のメリット>

  • 授業料が安め
  • 授業数が多いので一度に複数教科受講しやすい
  • 学校外の友達ができる
  • 競争心がつく
  • 入試などのデータ・情報量が豊富

 

<団体指導塾のデメリット>

  • 細かい指導は受けられない
  • サボりやすい(たとえ授業に出ていても聞いていない事もあり得る)
  • 自分のペースに合わない事もある
  • 友達関係に左右されることがある
  • 先生が合わなくても変えにくい

 

【解説】

大人数で一気に教えるので、授業料はお安めです。(但し、最近は値段が安くても、授業時間を短くしているところもあるので要チェック!)個々のペースに合わせる必要がないので、演習量も多くどんどん進めていく事ができます。それゆえに、ついていけない子、サボりがちな子は置いていかれてしまいます。

 

また、苦手な子がいたり、塾内でのいじめがあったりもします。しかし、ライバルが多いことで競争心がつき、より高みを目指すモチベーションがあがります。

 

 

【ワンポイント】

自己管理があまりできなかったり、「自分はまだ本気だしていないだけ」と過信している子には、同じ年の周りの子がどれだけ頑張っているのか見てもらうのが一番です。また、友達と一緒にがんばりたいという子も楽しみながら勉強できるでしょう。

 

【団体指導塾に向いている子】

友達が多い 元気いっぱい 親の言うことをあまり聞かない 自信家 要領が良い

(総じて末っ子タイプ)

 

【団体指導塾に向いていない子】

ナイーブ 要領が悪い 勉強の仕方がわかっていない(なんでも見本があればできる)

(総じて長男・長女タイプ)

 

 

 最初に説明したように、今は塾も多種多様なので、個別・団体両方のシステム完備・送迎サービスあり・入退室メール連絡等々色々です。

 

無料体験授業を実施しているところがほとんどなので、必ず体験をしてからの検討をおすすめします。子供は理屈ではないので、「塾にいってみたらなんか嫌だった」等あります。(先生の顔・話し方・教室の雰囲気・におい等)フィーリングというのは子供にとって重要です。体験授業を受けることで、入ってみたら合わなかったということを避けられますし、塾側としても、入塾前にお子様のだいたいの学力等を把握して、教材を用意する準備がしやすくなります。

 

ただ、注意点としては、一度でも問い合わせや体験授業をすると勧誘がしつこいです。

 

当塾は9割が口コミで入塾しますし、勧誘や宣伝に時間・労力・経費を使うなら生徒の満足度をあげたいので、体験の時もお聞きするのは電話番号と生徒の名前のみです。体験が終わればこちらから連絡をすることは一切ありません。大手の勧誘があまりにしつこいがゆえ、全く勧誘しない当塾に決めたという方も多いです。

 

入塾した後も、受講科目を増やすよう色々電話がかかる塾もあるので、断るものはきっぱり断ることが大事です。本当に生徒の事を思っての提案か保護者が見極めてあげてください。

 

また、よく「○○学校に141名合格!」などと宣伝しますが、その数は全国にある支店の合計です。その塾で何人が合格し、何人が不合格だったのか、また、高校入試では公立も私立も落ちてしまうと2次募集まで行くことがありますので、どのくらいが2次募集にいってしまったのか、聞いてみてください。もし不合格人数を把握していなければ話になりません。そこはやめましょう。

 

ある大手塾では士気を高めるために毎週第一志望校を生徒に書かせ、その学校があまりレベルが高くないと、「もっと高い学校にしなさい」と訂正させられます。子供に目標を高くもたせて頑張らせるのはいいですが、今の神奈川県公立高校入試は内申点でほぼ決まってしまうので、内申点が足りていなければ合格は難しいです。なのに自分のレベルよりもはるかに高い学校を目標にさせると、勘違いをしてしまう子もでてきます。そうすると2次募集までいくことになってしまいます。

 

冷静になってほしいのは、不合格でも塾は責任をとらないということです。塾としてはまぐれでも難関校に合格してくれれば宣伝に使えますから、「より高い学校を」というのはうなずけます。

 

また、塾独自の塾内模試を頻繁にしている塾も要注意です。もし塾内模試が全県模試やW合格もぎなど、教材会社が作っているものならば良いのですが、その塾オリジナルの模試の結果で「成績があがっている」などと説明してもっと受講科目を増やすよう促してくる場合は一度冷静になりましょう。もちろん模試を多くこなすことでてテスト慣れしますが、その塾オリジナルの模試は成績があがったように見せかけることが簡単にできます。万が一不合格になって問い合わされたとしても、「塾の模試は良かった。当日失敗しただけ」と言い訳の材料になってしまいます。

 

日本独自の「塾」という存在、全国にたくさんあります。個人経営の小さい塾から大手まで。各自取り組みは様々ですので、迷ったときは初心に帰って、「成績が上がりそうかどうか」是非冷静に見極めてください。きっとお子さんにぴったりの良い塾がみつかります。

【中学受験する?しない?】小学4年生からの通塾アドバイス

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もう小学4年生になったけれど、中学受験する子は多いのかしら?

 

なんてお悩みですか?

 

中学受験する子は各小学校によって数が違いますが、必ずいます。

しかし、周りの子が中学受験をするから、うちも受験するかまだわからないけれど、塾に行こう。と思っているのなら、やめてください

 

私自身お受験ブーム真っただ中に私立中学受験をしましたが、学習塾の塾長をしていて「今の時代に中学受験が必要か?」ということを考えると疑問を持ちます。

 

私立中学受験には色々なメリットデメリットがあります。

それらは下記に実体験を綴ったので参考にしてください。

 

www.toarujukucho.com

 

色々なメリットデメリットをふまえたうえで、どうしても難関私立中学受験をすると決断されたのであれば、小学4年生から中学受験専門塾へ通塾してください。

 

もしもう小学5年生であれば、子供がよっぽどの天才でない限りあきらめてください。遅いです。

 

小学4年生から受験に取り組むとしても、学校の成績が中ぐらいの場合は相当の覚悟が必要です。できれば1年生から普通の学習塾と習字・そろばんぐらいは通っている事がのぞましいです。

 

なぜなら、受験専門塾は1から教えてくれないからです。授業の前に自宅で必ず予習をして理解しておかないといけません。授業では理解が終わっていることを前提に入試によくでるさらに難しい応用問題をやるからです。そして、難関私立を受験する子は字がきれいに書けて暗算が得意な子が有利です。

 

中学受験専門塾でなければならない理由は圧倒的なデータ量と情報量です。そして、通う子供達の士気の高さも重要です。

 

どんなに小学校で頭が良いと言われている子でも専門塾に通うと上には上がいる事を痛感するでしょう。そして死ぬほど過酷な勉強漬けの毎日だとしても周りが皆それをこなしていくので、自分もやらざるを得なくなります。

 

普通の学習塾では話になりません。別物と思ってください。

 

そして専門塾も1つではなく、いくつか並行して通塾しますし、場合によっては家庭教師も必要になるでしょう。

 

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